糖尿病のページ@

*ドクター各位 : このホームページは資料も見ずに,記憶をたよりに作成しています。 もし間違った記述があれば,ご指摘いただければ幸いです。 私見については西洋医学的根拠に基かないところもあると思います。

糖尿病のトップページ


糖尿病の基礎知識(長いので適当に読み飛ばしてください)

 このページでは,糖尿病とはどんな病気かということを,わかりやすく書いて見ましょう。

総論
 人間は古来より,農耕や狩りにより食物を得てその種を維持してきました。 しかし,その摂取量は少なく,余分なものは備蓄にまわされ,生命維持のための必要最小限の食事をしてきました。 このころは,糖尿病という病気は皆無に等しかったと考えられます。

 それが社会構造が変化し,王様や将軍などの楽をして(?)食料を調達する人々が現れると,美食という概念が生まれ,よりおいしいものを追求するようになりました。 その結果,社会的に優位に立つ人たちの間に,肥満から糖尿病を発病する人が増えてきました。 徳川将軍に関する文献にも,口渇,多飲,多尿などの糖尿病の典型的な症状が記載されているようです。 しかしこの段階では,まだ一般庶民は決して裕福ではなく(余分な食物は接収される),糖尿病は無縁のものでした。

 そして戦後社会は一変し,分業・流通が進歩し,食物も大量生産され,おいしい食べ物が好きなだけ食べられるという時代がやってきました。 もちろん,栄養状態が良くなったことによって,いろいろな病気から開放されてきたのですが,糖尿病は激増してきました。

 人間の歴史上この100年間ほど変化した時代はありませんでしたが,病気についても同じことがいえます。 糖尿病もそうですが,高血圧・高脂血症などの生活習慣病(成人病)も栄養過多が大きく関与しています。 また食物アレルギー・アトピー性皮膚炎などのアレルギ−疾患も,一概には言えませんが,栄養の取りすぎ(抗原物質の摂取過多)が背景にあると考えられます。

 そして現在,40歳以上の日本人の10人にひとりが糖尿病で,40歳以下を含めると約600万人と考えられています。 さらに糖尿病の予備軍を含めると,約1200万人が糖尿病の危険があるともいわれています。

糖尿病ってどんな病気
 「糖尿病」と名のついたその理由は,読んで字のごとく尿に糖がおりる病気であるからです。 検診で尿検査をして糖(+)であると,「糖尿病の疑いがあるので精密検査が必要です」といわれます。 そして糖尿病の診断は,一定の条件下での血液検査で血糖値がどの程度高いかや,HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)というものを血液検査で調べることによってなされます。 また,ブドウ糖液を飲んで血糖値の変動を調べることもあります(75g糖負荷試験)。 ただし,尿に糖がおりているだけでは糖尿病とは診断されません。 なぜなら,血糖値は正常でも腎臓から糖がもれだしやすい人もいるからです(腎性尿糖)。 HbA1cについては,ぜひ上のボタン「HbA1c」を押してください。

 逆に,糖尿病であるにもかかわらず,尿検査ではひっかからない場合もあります。 これは尿に糖がおりるのは,血糖値がおよそ160(mg/dl)を越えたときに限られるからです(正常の朝の空腹時の血糖値は,110mg/dl以下です)。 糖尿病であるからといって,常に血糖値が160mg/dl以上あるわけではなく,食事のあとだけ血糖値が異常に上昇する場合も多いのです。 1日のうちでも食事などの影響で,血糖値は大きく変化します。 したがって,空腹状態のときに腎臓でつくられた尿を検査しても,糖が下りないことがあります。 最近まで多くの健康診断では,糖尿病については尿検査だけをしていましたが,現在は血糖値も測定するようになりました。 これは,尿検査では(−)でも,糖尿病の人が結構多いからです。

 結局,通常より血糖値が高くなるのが糖尿病なのです。 血糖値とは,血液に含まれるブドウ糖の量を数値で表したものです。 なぜ血糖値が上がるのかは,上のボタン「糖尿病の原因」へおすすみください。

糖尿病の症状
 糖尿病の症状は人によってさまざまですが,高血糖になると
   @口渇 (口・のどがかわく)
   A多飲 (水分を多く飲まないといられない)
   A多尿 (夜間もよくトイレにいく)
   B全身倦怠感 (最近なんとなく体がだるい)
などの症状がでてきます。 しかし,これらの症状は数ヵ月程度の比較的短期間に血糖値が上昇してきたときに出ることが多く,何年もかかって血糖値が徐々に上昇してきた場合は,からだが高血糖に慣れてしまって,なにも感じないことが多いのです。 また,毎年検診を受けていて初めてひっかかった場合などの軽症糖尿病や境界型糖尿病でも症状がでてきません。 つまり,血糖値などを測定してみないと,糖尿病ではないといえないのです。 その他の症状では次のようなものがあります。
   C手足がしびれる・ふらふらする (糖尿病性神経障害)
   D目がかすむ (糖尿病性網膜症)
   E手足がむくむ (糖尿病性腎症)
 これらは糖尿病の重大な合併症が出ている可能性があります。 これらの症状で医療機関を受診して糖尿病と診断される場合もあります。 また高血糖状態ですと,体の抵抗力が低下して,かぜをひきやすくなったり,肺炎や腎盂腎炎などの細菌感染を起こしやすくなったりします。 肺炎から糖尿病が発見される場合もあります。

糖尿病になって,なにが悪い!!!
 糖尿病の患者さんで,「べつにしんどいわけでもないし,しばらく薬ものまずに,定期検査にもこなかった」という方がおられます。 たしかに,風邪なら咳や熱でしんどいので受診されますが(普通は医者に行かずに,あったかくして寝ていればなおります),少々血糖値が高くても無症状のことが多いです。 しかし,これが糖尿病の怖いところで,しらずしらずのあいだに目や腎臓などが侵されていき,失明や腎不全に至ります。 糖尿病性網膜症は,かなり進行するまで視力が落ちたりせず無症状です。 眼底検査をしてみないとわかりません。 また,糖尿病性腎症もかなり進行するまで無症状で,むくみが出てしまってからでは,慢性人工透析が必要となる方が多いです。 これは,全く症状がない場合でも,尿検査と血液検査で どの程度腎臓の障害があるかが,かなり正確にわかります。
 現在日本人の成人の,失明の原因の第1位が糖尿病であり慢性人工透析となる原因の第1位が糖尿病なのです。 また,その数も年々増加の一途をたどっています。

本の紹介(当院でも実費でお渡しできます)

 @「糖尿病食事療法のための食品交換表」 日本糖尿病協会・文光堂(2008年7月現在、税込み945円)
 A「糖尿病治療の手引き」            日本糖尿病協会・南江堂(2008年7月現在、税込み683円)


 @の本は,全国の糖尿病の患者さんが使用している最も標準的な食事療法の本です。 はっきり言って,けっこう学問的ですので,難しい面もありますが,今の版は写真も多く見やすくなっています。 他の食事の本を見るときも,この本を中心としたほうが理解が深まってよいと思います。 ぜひ一冊購入してください。
 Aの本は,糖尿病という病気全般について,うまくまとめてあります。 このホームページよりずっとまじめに書いてあります。 間違ったことはまず書いてないでしょう。 すり切れるまで読んでください。