電子カルテについて

電子カルテの概要

 電子カルテとは,これまでの紙のカルテの代わりに,パソコンに医療情報を書きこんでいくシステムのことです。 院内に数台のパソコンを置き,それらをつないで相互にデータをやりとりします。 当院では受け付けに2台(来院用・会計用),診察室に1台,居宅に1台の,合計4台を使用いたします。  これにより,患者さん側,医療者側,その他多くのメリットが生まれます。

電子カルテのよい点

・診察が終わって医師がカルテを書き終わった段階で,瞬時に処方箋や会計明細が発行されます。
 紙カルテの場合は会計の計算は通常、診察終了後に事務員がカルテを見て電卓で計算したり,レセプトコンピューターに入力したりする必要がありました。 電子カルテでは,レセプトコンピューターの機能を兼ね備えていますので,診察終了時に数秒で自動的に計算され,処方箋や会計明細が発行されます。院内の事務手続きが簡略化され,診察後の待ち時間が短縮されます。 

・何年前のカルテでも,即座に見られます
 紙のカルテでは,保管場所の関係で,通常はすぐに引き出せるのは2年程度(医療施設の保管場所により異なります)。 また,それ以前のカルテは倉庫に眠ってしまい,すぐに出すのは困難なことが多いのです。 また,法的なカルテの保存義務は5年間で,それ以前のカルテは廃棄されることもあります。 電子カルテでは膨大なデータがハードディスクなどの記憶媒体に記録され,何年間通院しても,最初からのカルテがすぐに取り出せます。

・データの処理が容易で,変化がわかりやすい
 血圧・血糖値・コレステロールなどの値の変化が,簡単にグラフにできます。 数値で見るよりも,変化が良くわかります。

・カルテを印刷してお渡しします
 当院では,不用とおっしゃる方以外には,その日のカルテを印刷してお渡しします。 患者さんは,それを「わたしのカルテ」として綴じていっていただきます(医療情報の共有)。 それを見て,良くなっているか,悪くなっているかご自分でも考えていただき,病気について自分で理解を深めていただきます。 また,他の医療機関を受診された場合,それを必ず持参してください。 当院での薬の内容や,ご自身の健康状態を把握してもらう大きな助けになります。 もちろん,歯科や耳鼻科などを受診される時もです。

・医療情報の提供がスムーズ
 最近は,多くの医療機関で薬剤情報(その日に処方した薬の名前,作用,副作用などを書いたもの)を患者さんにお渡ししていますが,これも診察終了時に即座に印刷できますので,待ち時間の短縮につながります。 また,当院から他院への紹介状の作成も,電子カルテの情報を的確に利用でき,より正確なものが早く作れます。

・紙の資源を節約できます
 院内では紙のカルテを使用しませんので,紙の資源を節約できます(電気は余分に使ってしまいますが・・・)。

・その他,医療者側の利点もたくさんあります。

 カルテの保管スペースが不用で,診療スペースが有効に使え(患者さんにとっても快適になります),レセプトコンピューター1台程度の費用で維持可能,医療事務がほぼ全自動なので、事務の労力を患者さんのお世話のためにまわせる・・・などなど。

電子カルテの悪い(?)点

・電気を使います
 パソコンを使用しますので,紙のカルテでは全く使用しなかった電気が必要で,地球環境という意味では紙を使わないメリットと相殺されてしまうかもしれません。 しかし,診療中に稼動するパソコンは3台で,いずれも液晶モニタを使いますので,電気使用量はあまり多くありません。 また,電子カルテを使わない場合,レセプトコンピューターが必要で,その他データ管理用に余分に1台のパソコンが必要になってきますので,ほとんど差はないでしょう。

・電気が止まれば,カルテが使えない?
 当然ですが,停電するとパソコンは動きません。 しかし,よくできたもので,パソコンのコンセントにバックアップ電源を付けておけば,10分程度の停電は問題ありません。 ほとんどの停電は10分以内に復旧しますので,まず問題ないでしょう。 ただし,まれには数時間の大停電が起こり得ますので,何時間の停電でも対応できるように,ガソリンエンジンによる発電機も準備しています。 さらに万が一に備えて,一応最小限の紙のカルテも準備しておりますので,診療に差し支えることはまずありません。ただし、エアコンは動きませんので、夏は暑いし、冬は寒いです(^^ゞ)

・パソコンが壊れたら診察できない? 過去のカルテが消えてしまう?
 カルテのデータはまず中央のパソコンのハードディスクに書きこまれます。さらに、その全てのデータを毎日複数回、別のパソコンやメディアにバックアップしています。1台のパソコンが壊れても(普通はパソコンが壊れてもハードディスクのデータが消えることはありません),他のパソコンのデータが使えます。 さらに,定期的に書き換えができないCD−Rに記録をとっております。 最悪の場合,これを使用できます。もちろん、スペアのパソコン、スペアのプリンタも準備しています。